剣道(武道)とスポーツの違いとは?【必見】

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こんにちは。

私は剣道ブロガーのKENDO KAWANOと申します。

脱サラして剣道ブロガー兼Youtuber(現在準備中)に転身しました。

詳しくはプロフィールをご覧ください。

 

 

今回は、剣道(武道)とスポーツの違いとは?

について、取り上げていきます。

「剣道は日本の武道でスポーツとは違う」とよく言いますが、その言葉の意味を深く考えたことがありますか?

意外と見逃しがちな気がしますよね?

今回は、そんな方々へ向けて記事を書きたいと思います。

 

 

 

剣道(武道)とスポーツの違いとは

 剣道とスポーツの違いについて解説するにあたり、5つの項目に分けて解説していきたいと思います。5つの項目とは、

①剣道は伝統文化 

②スポーツは身体運動 

③剣道の目的は人間形成 

④剣道のスポーツ的側面 

⑤スポーツの武道的側面

 になります。

 ひとつずつ解説します。

 

剣道は伝統文化 

 全日本剣道連盟は、剣道を日本の伝統文化と位置付けています。 

 さて、ここで言う伝統文化とはどういった意味でしょうか? 

 辞書で調べてみると、 

 伝統

 昔からうけ伝えて来た、有形・無形の風習・しきたり・傾向・様式。特に、その精神的な面。

 

 文化 

 人間の生活様式の全体。人類がみずからの手で築き上げてきた有形・無形の成果の総体。 

 となっています。 

 つまり、「伝統」と「文化」2つの単語をつなぎ合わせた場合、昔から受け継がれてきた有形・無形の成果の総体」とでも要約できるのではないでしょうか。 

 ここで言う、「有形の成果」を剣道に当てはめれば、日本刀や竹刀・剣道具などの物的成果ということになるでしょう。また、「無形の成果」を剣道に当てはめると、日本剣道形や種々の稽古法などの行動的成果武士道を追求するその精神性ということになるでしょう。 

 剣道の本来的意味は、こういった伝統的な道具や行動様式、精神性について正しく受け継ぎ、更に次の世代へと伝えていくことに他なりません。 

 したがって、それ以外の「競う」「楽しむ」などの目的はあくまでも2次的な目的であるということができます。

 

スポーツは身体運動 

 一方、スポーツを辞書で調べてみると、 

 楽しみを求めたり、勝敗を競ったりする目的で行われる身体運動の総称。 

 となっています。 

 スポーツの目的は、「楽しむ」ことや「競う」ことであり、本来的には身体運動であるといえます。剣道のように、「伝承」することや「精神性を求める」ことは本来的な目的ではないということです。 

 スポーツであったとしても、伝統的な行為や(特に日本では)礼儀作法を求める文化はあると思いますが、それはあくまでも2次的な目的といえます。 

 

剣道の目的は人間形成

 そして、剣道には伝統文化としての目的以外に、「剣道そのものの目的」というものがあります。それが、「剣道の理念」です。全日本剣道連盟は「剣道の理念」を以下のように定めています。 

 剣道は、剣の理法の修錬による人間形成の道である 

 「剣道そのものの目的」は「人間形成」にあるということです。ここでう人間形成とは、「心気力一致による調和のとれた人格を完成する」という意味であると私はとらえています。「心気力一致」とは、知覚と思考と行為が瞬時に連結して正しい行いや正しい振る舞いができるという意味と解釈してください。 

 つまり剣道は、伝統文化として「行動様式や道具、精神性を伝承する」ことに加え、剣道そのものの目的である「心気力一致による人間形成を目指す」、という2つの目的をもつものであるということがわかります。

 

剣道のスポーツ的側面 

 しかし、剣道にはスポーツ的側面がないのか?と問われれば、「ある」と言わなければなりません。 

 第一に、剣道の起源である剣術は日本刀で相手と真剣勝負をする中で、相手に勝ることを目的としたものです。したがって、その剣術を昇華した剣道にも相手に勝る、つまり競うという要素が残っていることは至極当然です。したがって剣道にも試合が存在し、試合が存在するが故に勝ち負けが存在します。 

 また、剣道のスポーツ的側面を語るうえで見逃してはいけないのは、学校スポーツの存在です。中学校や高等学校において部活動として「剣道部」が存在しているという点です。そのため、「剣道競技」は中学校体育連盟や高等学校体育連盟の競技として、各都道府県大会や全国大会という「試合競技」として実施されています。 

 またその試合の結果が、中学生にとっては高校への、高校生にとっては大学や企業への進路選択と深く関係してきます。都道府県大会や全国大会で活躍した選手は、その実績を利用して希望の進路を実現することができる場合があります。 

 そうなると、子どもたちや保護者、あるいは指導者も含め、試合に勝つことに対して躍起にならざるを得ません。私はこのことこそが、剣道をスポーツたらしめる最大の要因なのではないかと考えます。 

 また、多くの剣道愛好者にとっては、剣道をすることで爽快感や充実感を味わい、娯楽的に「楽しむ」という感覚もあるはずです。これは剣の理法の修錬と並行して行われるものではありますが、「楽しむ」というスポーツ的側面が確かに剣道にもあります。 

 以上のように、その賛否は別として、剣道には「競う」「楽しむ」といった、スポーツ的側面があるということになります

 

スポーツの武道的側面   

 それでは逆に、スポーツには武道的側面はないのか?と問われれば、これも答えは「ある 

」となります。 

 例えば野球などのスポーツは、戦前に日本に持ちこまれ、すでに1世紀以上の伝統を有するスポーツです。また、その中で高校野球などでは、ユニフォームの着こなしから髪型に至るまで様式が伝統化され、また礼儀作法を重んじるといった風習が根付いています 

 そしてスポーツも武道と同じように学校教育と合わさることにより勝つことだけが目的ではないという考え方が一般的なっています。正にスポーツの武道的側面といえます。 

 よく就職活動などでも、「体育会系(スポーツマン)は優先的に採用される」などといった話がありますが、それは「スポーツが精神性を重視している」との一般認識からくるものに他なりません。 

 「楽しむ」「競う」といった本来の目的以外にも、「精神性」や「伝統」を重視する考え方がスポーツにも存在します。このように考えた場合、スポーツにも武道的側面があると言えのです 

 

まとめ

 今回は、

 「剣道(武道)とスポーツの違いとは」

 について解説しました。 

 ポイントは、①剣道は伝統文化、②スポーツは身体運動、③剣道の目的は人間形成、④剣道のスポーツ的側面、⑤スポーツの武道的側面、の5つです。 

 剣道とスポーツには、その目的に違いがあります。しかし、剣道のスポーツ的側面というものを考えた場合、広義では剣道もスポーツと呼ぶことができるかもしれません 

 しかし我々剣道家が忘れてはいけないのは、あくまでも剣道は剣道であるということです。「伝統文化の継承」「人間形成」を第一義的目的とするということを、いつも頭に置いて剣道に向かい合わなければなりません 

 とはいえ私は、子どものころからそんな難しいことを考える必要はないと考えています。子どものころは、「勝つこと」「楽しむこと」に優先度を置いても構わないのではないでしょうか 

 しかし、成長過程においてそばにいる指導者が「本来的な目的について考えられるような示唆を与える」ことこそが大切なことであると考えています。それこそが「伝統文化」の継承とも呼べる行為になるのではないでしょうか。 

 剣道は生まれてから命尽きるまでの長い物語なのです。紆余曲折を経ながらも人間形成に向けて一歩ずつ歩を進めていけばよいのです。 

 今回はこんなところで記事をしめたいと思います。 次回の記事もどうぞお楽しみに。

 それでは。 

 

 

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