


こんにちは。
私は剣道ブロガーのKENDO KAWANOと申します。
脱サラして剣道ブロガー兼Youtuber(現在準備中)に転身しました。
詳しくはプロフィールをご覧ください。
今回は、「剣道の効果的な練習試合の方法 」
について、取り上げていきます。
今回の記事は、主に中学高校生の部活動をイメージして解説します。
ちなみに、この記事の信ぴょう性として私の経歴を説明すると、高校の剣道指導者歴約10年で、国体4位、九州大会3位などの成績を収めたことがあります。全国優勝とまではいきませんが、ある程度の戦績を収めた経験があるので、ある程度的を得た解説ができるのではないかと考えています。
それでは、解説していきます。
剣道の効果的な練習試合の方法
剣道の効果的な練習試合の方法として、5つのポイントをあげて解説します。
①試合に勝つことにフォーカスする場合、練習試合は最善
②やるだけでは無駄!振り返りや反省が必要
③その日その場でできることをするというマインド
④指導者の心得
⑤練習試合を生かした稽古
です。
次の項から、ひとつずつ解説していきます。
試合に勝つことにフォーカスする場合、練習試合は最善
「試合に勝つためには、試合の練習をする」というのはごく自然なことであり、剣道においても、「練習試合」をするということは、試合に勝つことにフォーカスすれば、最善の練習法となるでしょう。
なぜならば、「武道」である剣道は、その起源と理念ゆえ、(残念なことに)稽古と試合の立居振舞が全くと言っていいほど異なるからです。その是非についてはこの記事では論じませんが、ともかくそのような現状があります。
例えば、地稽古で八段の先生に稽古をいただいたとして、かかり手が瞬間的な動きで引き技を打って面を捉えたとしても、おそらく何も認めてはくれないでしょう。また、我々剣道家は、たとえ中高生であったとしても、八段と相対した際、そのような技を出すことすらしない場合が多いでしょう。このように、普段の稽古では、原則として初太刀一本の気位で稽古をすることが多く、剣先の攻防が稽古の中心となる場合が多いのです。これは互角稽古であっても、やはり同じような傾向がみられると思います。
それに対して、試合にはルールがあり、有効打突の判定には明文化された条件があります。そこに「引き技は禁止」と書かれていない限り、引き技であろうが、何の技であろうが、ルールに従って一本となります。つまり、いざ試合に出場すれば、「反則でないことは何をやってもよい」ということになり、人間は欲の生き物ですから、勝負となればやはり勝ちたいという心情が働いて普段の稽古ではおよそ打突しないであろう(少しずるいかのような)タイミングや打ち方を(反則でないギリギリの範囲内で)してくるものです。
そういったことから、普段の稽古と試合の方法は大きく異なっているため、試合に勝つことにフォーカスした場合、練習試合を行うことが必要不可欠となってきます。
やるだけでは無駄!振り返りや反省が必要
「練習試合をするだけでは何の意味もありません」と断言します。
先ほどの項で練習試合が必要不可欠と書きましたが、ただ練習試合をするだけでは、不十分です。それどころか何の効果もありません。
理由は、ただ練習試合するだけでは、「試合に勝った」や「胴が当たった」や「相手が強かった」などの刹那的な感覚だけしか感じることができないからです。
世の中の、剣道の成績が上がらない原因の多くはここにあります。これは、断言できます。
それでは、練習試合を最善の練習法にする、つまり、意味のあるものにするために必要なこととは何なのでしょうか?
それは、「振り返りや反省」をすることです。
「振り返りや反省」をすることによって練習試合は効果を発揮し、修行者の試合レベルを一気に引き上げる助けとなります。また、「振り返りや反省」には、「その場でできること」と「持ちかえって稽古が必要なこと」に分かれます。下の項で説明します。
その日その場でできることをするというマインド
練習試合の「振り返りや反省」をする際、最優先にするべきは、「その場でできる改善を行う」ということです。当たり前のように感じて、できる人は少ないです。
中学生や高校生であれば、大抵、1試合の練習試合が終われば、指導者から全体を集めての注意事項、場合によっては個別の指導があります。指導者は「指摘する」、生徒は「指導を聞く」、一見これによって「振り返りや反省」が行われているように感じるところですが、それが間違いです。
私の考えでは、「振り返りや反省」には「手や足を動かす」や「他人のやり方を観察する 」といった「行為」が伴っていなければなりません。
具体的には、「鍔迫り合いの際の体重のかけ方」・「後ろに下がった後の左足の置き方」・「体当たりや崩しを入れられた際のさばき方」などデティールについて、指導者はより具体的に指導し、生徒はそれを即座に、身振り手振りで復習しなければなりません。
試合と試合の間に休憩時間がわずかでもあれば、それは単なる休憩ではなく、次の試合に向けた練習時間であり、自分にとっての課題がすでに解決済みの他の選手を観察するための時間なのです。そのような気持ちの持ちようが、「その日その場でできることをするというマインド」であり、その日1日で問題発見から問題解決の過程を完結することができる素晴らしいマインドであると言えます。
指導者の心得
では、指導者は練習試合の際にどのように振る舞えばよいのでしょうか?
ポイントは、「より具体的に指示を出し、その場で改善するための行動を要求する」ということです。
「あそこで面を打てば良かったのだ」、「もう少し気迫を出してみなさい」という指導の仕方もあるでしょう。そういう指導がその生徒との関係性や当該の場面によっては必要な場合もあります。しかし多くの場合、このような指導は、受け取る側にとって単なる「感想」にしか聞こえません。つまり、次の試合にそれをどう生かせばよいのか?具体的にどうしたらよいのか?がわからないのです。
指導はより具体的に、細かく、詳しくしてあげる方が効果的でしょう。先ほども書いた通り、「鍔迫り合いの際の体重のかけ方」・「後ろに下がった後の左足の置き方」・「体当たりや崩しを入れられた際のさばき方」など、より試合の一部を切り取った、より細かい場面を想像させ、その場面で実際に手足をどのように動かすべきなのか、について指導してあげるのです。
そしてそれらを、間髪入れずに練習することを求めるべきです。今できていないことを、しゃべって説明しただけで出来るようになれば、それは幸せなことですが、そのように簡単にはいかないのです。次の試合までの間、他の生徒に加勢してもらって実践的に練習する、あるいは自分でできることであれば自主練習をする、とにかく口でしゃべってイメージさせたことを、身体をつかって確認させる作業が必要です。
試合の時は、練習試合でも本番でも、「驚懼疑惑」いろいろな感情が心をめぐります。したがって、技の詳細や、手足の動かし方といったデティールまで気を配るというのは至難の業です。まずは、そういったプレッシャーのかからない状態で手足を動かし身体に覚えさせるという作業をするのです。そして少しでも身体と頭に、次やるべきことを理解させてから試合に臨ませます。あとはその繰り返しです。
練習試合を生かした稽古
「振り返りや反省」には、「持ちかえって稽古が必要なこと」があります。その日、1日では改善することのできない反省です。例えば、「打突の強度」であったり、「手の内の作用」といった、反復練習によって改善されるべきものです。
それらの反省について、必ず生徒に、「この反省は普段の稽古で改善するべきものだ」ということを伝えるようにしましょう。「今言ってもしょうがいないから」といってそのままにしておくと、あとからでも忘れ去られてしまう可能性があるからです。
道場に帰ったら、練習試合の反省を生かした新たな練習メニューを考えましょう。全体に関わる反省であれば全体練習のメニューを改善し、個別の反省であれば自由練習の時間を設けて個別のメニューを練習させましょう。
そうやって道場で練習した内容を次回の練習試合に生かす指導を心がけてください。基本的には、この作業の繰り返しを行うことが、効果の出る練習試合の方法となります。
まとめ
今回は、
「剣道の効果的な練習試合の方法」
について解説していきました。
ポイントは、①試合に勝つことにフォーカスする場合、練習試合は最善、②やるだけでは無駄!振り返りや反省が必要、③その日その場でできることをするというマインド、④指導者の心得、⑤練習試合を生かした稽古、の5つです。
今回は指導する対象として、中学・高校生をイメージして書きましたが、一部応用して考えれば、少年剣道やその他の指導にも生かせる内容になっているかと思います。
一見当たり前に思えるようなことが多かったかもしれませんが、本当に実践できる人は多くありません。ちなみに、記憶力に自信がある人は地頭でも構いませんが、そうでない人(監督でも選手でも)はメモ魔になることをオススメします。感じたこと・言われたこと・取り組んだことなどを逐一メモに残しておくのです。それを練習試合や練習の前後に読み返すことによって自分の課題がより明確になり、良い練習や練習試合になるはずです。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。
剣道具職人のいる店 剣道防具工房「源」



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