こんにちは。
私は剣道ブロガーのKENDO KAWANOと申します。
脱サラして剣道ブロガー兼YouTuber(現在準備中)に転身しました。
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今回は、
「剣道のルールを変えることが剣道のためになる理由」
について、取り上げていきます。
剣道具職人のいる店 剣道防具工房「源」
剣道のルールを変えることが剣道のためになる理由
剣道に試合がある限り、そこには必ずルールがあります。もちろん現行の試合ルール、つまり全日本剣道連盟が定める試合審判規則はとても素晴らしいものです。しかし、そんな素晴らしいルールの中でも「剣道の乱れ」が叫ばれはじめてからしばらくの時間がたちます。原因は、現在のルールには抜け道が存在している(正確には解釈の相違が存在している)ためだと考えられます。そこで私は、今のルールで剣道が良くならないのであれば、ルールを変更してでもよくするべきではないだろうか?という腹案をもつようになりました。今回はその点について解説します。
項目は2つです。
・ルールの変更が必要なたった二つのポイント
・ルール改正私案
順に解説します。
ルールの変更が必要なたった二つのポイント
まず最初に、私が思う現行のルールのなかで変更が必要である点を挙げてみます。
①鍔競り合い
試合・審判細則16条の7にこうあります。
規則17条の7号の禁止行為は、次の各号などをいう。
7.不当なつば(鍔)競り合いおよび打突をする。
剣道の試合審判規則細則には「不当な鍔競り合い」は禁止と明記されています。しかしながら、不当な「鍔競り合い」に関する具体的な中身への言及はありません。では、「不当な鍔競り合い」とはどのような状態をさすのでしょうか。主に以下のような状態があります。
1.手元が上った拳競り合いになっている状態
2. 竹刀が裏交差(裏鎬側で交差)になっている状態
3. 相手の力を故意に吸収して体を密着させる状態
4.打突の意思がない状態
他にもありますが、要するに「正しい鍔競り合い(鍔元同士で表交差の鍔競り合い)」以外のものはすべて反則ということになるのです。
ところが、上に挙げた4つの例を見てみると、実にあいまいだということに気づくでしょうか?例えば「手元が上がる」とは具体的にどういう状態なのか?とか、裏交差は禁止だけど瞬間的な裏交差は有り得る?とか、故意に体を密着させるとは?とか、ツッコミどころがたくさんあるのです。したがって、単純に試合に勝ちたいと思えば、ルール上のグレーゾーンをうまく利用して勝機を見出そうとする発想がどうしても生まれてしまうのです。故に、この鍔競り合いの部分については全面的な見直しが必要だと考えられます。
②禁止行為
試合審判規則の第3章では、「禁止行為」について記載されています。そのなかで、第17条7にあるのが、「この規則に反する行為をする」という文言があります。これは、試合審判規則の第1条「公明正大に試合をし」というところにかかる部分と思われ、高校の試合でいう所の「公正を害する行為」に該当します。
私は鍔競り合いと併せてこのルールにも変更が必要であると考えます。詳しくは次の項にて説明していきます。
ルール改正私案
①鍔競り合い
まず、「鍔競り合いからの引き技」については全面的に禁止とする流れを考えています。そのための方法としては、「鍔競り合いになった場合、相互に間合いを切る」などのルールへの改正が必要となります。打突の勢いで必ず相手と接触することから、鍔競り合い自体をなくすことは不可能だと考えるので、鍔競り合いになったら分かれるというルールに変更をすればよいと思うのです。
「鍔競り合いからの引き技」がなくなれば、不当な鍔競り合いも自然となくなっていきます。グレーゾーンの鍔競り合いからこしゃくな方法で相手から一本をかすめ取るような発想は淘汰されていくと考えます。
それでは、引き技は剣道に不要なのか?という声が飛んで来そうですが、私はそうは思いません。私がこの案で禁止しているのはあくまでも「鍔競り合いからの引き技」であって、それ以外の引き技については大いに狙ってよいのではないかと考えています。
たとえば、相手の技の打ち終わりを捉えた引き技などは足さばきが重要になってくる大変素晴らしい技です。そのような「鍔競り合いを経由しない引き技」については盛んに練習されるべきだと考えていますし、試合でも有効であるべきです。もちろん、審判の見極めも重要になってきますが。
そして願わくは、日本全体の剣道が良くなってきたという日本全体での合意が得られた時点で鍔競り合いについてのルールは全てもとに戻して、正しい鍔競り合いからの引き技も解禁する流れになることが一番喜ばしいことです。
※私は学生時代はとにかく「鍔競り合いからの引き技」が得意でした。やはり「鍔競り合いからの引き技」にも一定の技としての価値はあると考えているので、永遠に闇に葬り去るのではなく、不当な行為が行われないことが確認されれば元に戻したいです。
②禁止行為
先ほども書きましたが、試合審判規則の17条7を解釈すると、「公正を害する行為を行ってはならない」となっているのですが、そもそもこれが実行できていないというのが剣道界の現実です。
小中高校、大学生の試合から警察、一般の大会に至るまで、「なぜ反則を取らないんだ?」と訴えたくなる場面が多々見られます。仮に①の鍔競り合いのルールを変更したところで、奇想天外な発想でグレーゾーンの部分を狙ってくる輩が現れないとは限りません。そのような時に、現在のルールのままでは対応できません。
よって、この17条に付け加える形で、「時間を空費すること(時間空費は大きな意味で公正を害する行為に当てはまると考えます)」や「極端な防御姿勢をとること」や「鍔競り合いから引き技を打つこと」とすればよいのではないかと考えています。
結局なぜ公正を害する行為をするかと言えば、「勝敗」が関わっているからであって、「勝つために時間つぶしをする」か「勝つために相手の攻撃を変形の防御で避ける」という2つに集約されています。従って上の3つを付加すれば大方の反則行為は網羅できることになると考えます。こうやって試合規則に明文化されれば、今まで以上に審判の任務としても明確化されていくのではないでしょうか。そして審判講習会などで周知していけば、これまで見逃してきたグレーゾーンを見逃さないようにすることができるのではないでしょうか。
以上の理由から私は、禁止事項についての改正を主張します。
まとめ
今回は、
「剣道のルールを変えることが剣道のためになる理由」
について解説しました。
ポイントは、「ルールの変更が必要なたった二つのポイント」「ルール改正私案」となります。
「剣道は試合に勝つことが楽しい」とか、「楽しんでやることが大事」という声をよく耳にします。私はまったく同意しますが、どのように楽しむのかという点については考えるべきところがあると思っています。「スポーツの楽しみ方」があれば、「剣道の楽しみ方」もあるのです。剣道本来の伝統文化としての一面を学びながら楽しんでいくことができれば一番良いのではないかと思います。そのような考えの中で、現在の試合のルールに一石を投じる必要があると考えて今回の記事を書きました。いずれにしても剣道をするすべての人が「剣道に関わる」ということの意味をよくよく考えることが何より大事なことだと考えています。
最後まで読んでいただきありがとうございます。次回もお楽しみに。
それでは。
剣道具職人のいる店 剣道防具工房「源」
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