剣道の国体で「ひいき」や「やらせ」があるのか?に答えます【闇・八百長】

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こんにちは。

私は剣道ブロガーのKENDO KAWANOと申します。

脱サラして剣道ブロガー兼Youtuber(現在準備中)に転身しました。

詳しくはプロフィールをご覧ください。

 

 

今回は、剣道の国体で「ひいき」や「やらせ」があるのか?

について、取り上げていきます。

以前に、タレントのマツコ・デラックスさんが出演する「月曜から夜ふかし」というテレビ番組などでも取り上げられたことがある件なので、気になっている方も多いのではないでしょうか。今回は、国体にスタッフとして参加したことのある私の視点で、国体の現状と問題点について赤裸々に解説していきたいと思います。

 

 

 

剣道の国体で「ひいき」や「やらせ」があるのか?

 剣道の国体で「ひいき」や「やらせ」があるのか?を解説するにあたり、4つの項目に分けて解説していきたいと思います。4つの項目とは、

①国体の「八百長」問題について 

②国体の開催地は死ぬほど強化しています 

③納得がいかないこともあります 

④必ずアドバイザーがつきます

 になります。

 ひとつずつ解説します。

 

国体の「八百長」問題について   

 国民体育大会(以下、国体)の剣道競技で、その競技結果をめぐり毎年と言っていいほど関係者の間で物議をかもしています。

 内容としては、審判の判定に疑義があるのではないか?ということです。例えば高校男子のインターハイや全国選抜大会といった大会では、2010年代には熊本県の九州学院高校が無類の強さを誇り何連覇もしていたのですが、国体だけは必ずしも九州学院率いる熊本県の独壇場という結果になっていない。などの事例が発生しています。結果だけ見れば、確かに不自然にも感じる国体の剣道競技には、果たして「八百長」や「やらせ」「ひいき」が存在しているのでしょうか? 

 この記事では国体にかかる開催地の強化計画から疑惑の中身までできるだけ詳細に解説していきます。 

 

国体の開催地は死ぬほど強化しています   

 この項では、国体の開催に際し開催地の都道府県がどれだけの強化(投資をしているのかということを解説していきたいと思います。 

 まず、(都道府)県での国体開催が決まると、該当する都道府県は必ずと言ってよいほど「天皇杯獲得」(つまり国体の全競技を通じた総合成績で1位)という目標を立てます。そして都道府県の予算に占めるスポーツ(国体)関連予算の割合を高めていきます。 

 つまり、国体を開催する都道府県は国体に対して多額の「カネ」を準備します。そしてその「カネ」は各競技団体へ配分され、競技団体の裁量により国体へ向けた強化へと使われます。 

 そういった流れでどの開催地においても、剣道競技なら剣道競技に対して従来の年度からかなり増額された予算が配分されていくわけです。 

 では、増額された予算が何に使われていくかということですが、主には「遠征」や「合宿」といった強化費に利用されていくことになります。国体の開催地は10年ぐらい前から決まるものなので、その段階から徐々に強化が始まっていき、「合宿」や「遠征」などを重ねていくということです 

 剣道の「少年の部」に焦点を当ててみましょう。剣道「少年の部」はすなわち「高校生の部」ということですので、国体の開催が決まる頃から考えれば当該の学年の選手が小学生の時代から強化が始まるという計算になります。普段は自分の少年剣道チームで稽古をすることが主体の選手たちですが、国体開催となると出稽古や合同稽古・錬成会などが各段と増していきます。そうやって小学生の時代から、「国体で勝つこと」を一つの集大成とした競技団体からの「教育」が施されていきます。 

 そして、重要なのは中学校から高校へ進学するタイミングです。都道府県によりますが、昨今は剣道留学が活発になっていることから、人材流出がその都道府県の競技力向上の大きな妨げとなっている場合があります。しかし、国体開催というアドバンテージを得ることにより、そのような人材流出をかなり抑えることが期待されるのです。そればかりか、場合によっては国体の開催地という魅力によって他県から優秀な人材が国体開催の都道府県に流入することさえ考えられます。それが国体の本旨から見て健全なことなのかはさておき、実際にういった事例は過去にいくつも起こっています。 

 長い時間をかけて強化された自(都道府)県の選手と、国体優勝という目標のもとに集まった流入組の選手が高いレベルで競い合って、3年後の国体を目指す道のりが本格的にスタートします。 

 高校年代に入ると、「少年の部」の強化は基本的に高等学校の教員を中心とする監督・コーチに委ねられることになります。国体の開催地となれば継続的な強化の必要性から最低でも国体開催までの3年間は監督・コーチが変わるということはよほどイレギュラーなことがない限りは有り得ないでしょう。そのこと自体も国体の開催地にとって大きなアドバンテージになります。普段は各学校の強化方針のもとでそれぞれ強化を行っているでしょうが、やはり剣道の場合国体で開催されるのは団体戦であり、戦術やチームワークが重要になってきますので、違う学校に所属する国体の候補選手が一堂に会して、同じ監督の指導の下「合宿」や「遠征」を行うということは極めて重要な意味を持ちます(国体において5名の選手が全部同じ学校の選手となることはありますが、少ないです。また、5名に絞る間に10~15名程度の候補選手を立てるでしょうから、違う学校の選手同士が同じ国体候補選手として切磋琢磨するという構図がおのずと出来上がります)。3年間、同じ監督のもとで、同じ指導を受け、ともに戦った仲間との集大成ともなれば、本番の国体で自分のもつ力以上のものを発揮できる土台としては充分なものと言ってよいでしょう。 

 このように、剣道の「少年の部」に焦点を当ててみた場合、国体の開催地にはかなりのアドバンテージがあることがわかります。無論、これが国体の終わった後や国体が直近に迫っていない年度であれば、頻繁に国体強化遠征や合宿を行うこともないでしょうし、そのような予算もつきません。したがって、「各学校」ではなく「国体チーム」単位で充実した強化を行うことができること自体が、国体開催地が強い理由の1つです。 

 こういう風に、国体開催地の都道府県は他県に比べ、国体にフォーカスして強化されており、国体に向けた稽古量やモチベーションといったあらゆる面で他の都道府県をリードしているため、実際に試合をしてみると「めちゃくちゃ強い」という現象はたまたま起きることではありません。 

 見出しに書いてある通り、死ぬほど強化した賜物としてそれなりの実力を獲得していると言えるのです 

 また、この項の最後に、非国体開催地の状況をまとめてみます 

 まず国体の開催地とは違い、「強化費」や「合宿」「遠征」は格段に少ないでしょう。それゆえに、残念ながらチームとしての一体感もそこまで強くない場合が多いです。さらに、国体の開催ならいざ知らず、そうでなければ、同じ都道府県の他校はライバル同士ということで普段から交流が少なく、そればかりか犬猿の仲である場合も少なくありません。したがって、団結力や試合にかけるモチベーションも上がらないという現象がいろいろな都道府県で毎年のように見受けられます。 

 また、国体の開催時期も試合の結果に関わってくるでしょう。国体は通常10月初旬に開催されますので、高体連主催の最後の大会であるインターハイが終わってから約2か月先の開催となります。国体選手の多くは3年生ですから、インターハイが終わったことで「燃え尽き症候群」のような状況に陥る選手も少なくはありません。半分遊びとまでは言いませんが、気持ち的に国体を重要視しきれていない選手がいることもまた事実です。 

 そういったことから考えると、国体の開催直前まで強化を続けて、選手のモチベーションも高い開催地の方が断然有利ということは間違いないと言えます。

 

納得がいかないこともあります 

 とはいえ、国体について納得がいかないことがあるのも事実です。 

 過去に、国体開催地の行政の要人から「旗ふり競技(剣道など審判の旗判定により勝負が決する競技)は開催地が有利だ」という主旨の発言があったことがあるそうです。つまり、剣道などの旗振り競技は「開催地が勝ちやすいようにバイアスがかかっている」と行政側は認識しているということなのです。剣道の経験者や実際の試合者や監督がそういった主旨の発言をするのであれば、まだ「負け惜しみ」ととれないこともないでしょうが、天皇杯獲得に向けて必死に各競技の取得できそうなポイントを、そろばんを弾きながら計算している行政の人間がそういうのですから、よっぽどのことと認識した方がよいでしょう。 

 実際に、私が国体に自県のスタッフとして出場した際に開催地と対戦した経験があります。負けた身でこういうことを言うことは非常に情けなく憚られるのですが、「こちらが打突した技がなかなか有効打突にならない」と感じることはたびたびありました。その時は非常に悔しかったですし、結果試合には敗れましたので、一生懸命に努力した選手たちには非常に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。そういった経験をした監督・選手は過去に多数いたのではないかと推測できます。 

 ただし、私は上記の事実をもって「八百長」や「やらせ」「ひいき」があると断定することはできないと思っています。理由は、国体の審判員は「高体連の教員ではない」からです。 

 国体の審判は全日本剣道連盟から委嘱され審判を行います。剣道教士八段の先生方が担当されます。この先生方は、普段高校生の審判をすることは「ほとんどない」と言ってよいと思います。剣道の有効打突の判定は小学生~一般まで、「全日本剣道連盟剣道試合審判規則」に記載された通り同じ条件のもとで判定されますが、実際の判定に際しては、小学生・中学生・高校生・一般と選手の熟練度によって判定の基準が微妙に変わってくることがないとは言えません。そこに、普段自分が見ることや審判することのないカテゴリーの選手を判定するとなれば、判定を受ける側(選手や監督)にとって違和感を覚える判定になる可能性があるということは排除できないのではないかと思います。 

 実際に、各地方ブロックの大会(国体ブロック大会)において、同じように各都道府県剣道連盟から推薦された高段者の先生方が審判をされますが、こちら(高体連の監督・選手)からすれば目を疑うような判定だ」と感じることは毎年のようにあります。しかし、ブロック大会において審判が八百長を行うことのメリットはないため、審判の先生方が不正をしているというわけではないのです。やはり微妙に判定の基準にズレが生じる現象が起こっていると考えられるのです。 

 というわけで、国体の審判には確かに違和感を覚えることがある。ただし、それをもって「八百長だと断じることはできない」ということになります。 

 

必ずアドバイザーがつきます   

 もう一つ国体に関して指摘しておかなければならない点があります。国体の開催に当たり、当該都道府県は全日本剣道連盟と連携のもと、「しかるべき人物」にアドバイザーを委嘱します。「しかるべき人物」とは基本的に「剣道範士八段」の先生にあたります。これには2つの意味があります。 

一つ目は、範士八段の先生の指導を受けることにより、高体連ではなく全剣連基準の打突や勝負のポイントに対する理解が深まるということです。先ほども書いたように、審判に対する微妙なズレをなくす1つのきっかけになる場合があると思います。範士の先生側からしても、自分が指導して国体優勝に導いてあげたいと相当気合の入った指導が行われると考えられます。 

二つ目は副産物としての意味です。これもまた、断定して物事を言う意図はありませんが、大会当日に、審判の先生方に相当のプレッシャーがかかるということは間違いないでしょう。全日本剣道連盟は強烈な縦社会です(そのこと自体を否定するものではありません)。「範士」という絶対的な権威のもとで「教士」の先生方が審判をされるわけですから、「絶対にミスをしてはならない」という無言のプレッシャーが審判員の先生方にかかることは明白に思えます。剣道の審判の最大のミスというのは「有効打突の見落とし」ですから、当該都道府県の選手の有効打突は決して見逃すまいとして、審判員の先生方は血眼になってミスをしないで有効打突を取ろうという精神状態になるでしょう。その現象が見る人に違和感を与えかねないということはご想像いただけるのではないかと思います。つまり、開催地にとっては大きなアドバンテージとなる可能性があります。 

 このように、剣道の国体にはアドバイザー制度が定着しており、そのことは国体開催地の試合結果にとって、有利に働く可能性が高いということになります。 

 

まとめ

 今回は、

 剣道の国体で「ひいき」や「やらせ」があるのか?

 について解説しました。 

 ポイントは、①国体の開催地は死ぬほど強化しています、②納得がいかないこともあります、③必ずアドバイザーがつきます、の3つです。 

 国体を開催する都道府県はかなり長期的な計画を立て「人」と「カネ」(悪い意味ではなく)をつかって強化を図ります。そのため、競技力という面で、当該都道府県がかなり高いレベルに到達することは当然のことと言えます。 

 とはいえ、納得いかないこととして「審判の判定」があげられます。当該都道府県に有利な判定が行われているのではないか?というものです。もしも、当該都道府県と審判員の間で金銭の授受や供応が行われているとすれば、審判を買収したということになりますし、そういった意味では「八百長」があるのかないのか私にはわかりません。しかし、それはないと考えたいと思いますし、ないと思っています。 

 審判の判定は「年代の差異による微妙な共通認識のズレ」が生じており、それによって判定に対する不服が生じていると考えています。この点については、個人的には、剣道界全体として審判の交流人事的な仕組みを考えていかなくてはならないのではないかと考えています。 

 長くなりましたが、結論として、「剣道の国体で八百長やひいきはない(と信じたい)」ということになりました。 

 最後まで読んでいただきありがとうございます。次回もお楽しみに。 

 それでは。 

 

 

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