「剣道で有効打突の判定は難しい場面」・「加齢と剣道」2つまとめて解説

迷う人 剣道

 

こんにちは。

私は剣道ブロガーのKENDO KAWANOと申します。

脱サラして剣道ブロガー兼Youtuber(現在準備中)に転身しました。

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今回は、

「剣道で有効打突の判定は難しい場面・加齢と剣道

について、取り上げていきます。

2つの話題を手短に説明していきます。

 

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剣道で有効打突の判定は難しい場面

 剣道の審判は全日本剣道連盟が定める剣道試合審判規則によって行われます。有効打突の判定については、 

充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるものとする

と明記されています。

 ただし、実際の審判をする場合に判定が難しいことがよくあります。今回は3つのポイントについて解説します。

・試合開始直後の打突

・有効打突に近い技の直後の反対の選手の打突

・刃筋の通っていない技

 

・試合開始直後の打突

 一言でいうと、審判が居着いてしまうことが原因です。「まさか初太刀から飛び込まないだろう」や「とりあえず両者の技量を見極めよう」とゆったりと心構えをしてしまうことによって、試合者が立ち上がると同時に打突した技を見逃してしまいます。

 改善方法は、「心構え」しかありません。主審の「始め」の宣告の瞬間から「いつでも旗をあげるぞ」という気迫が必要になってきます。ある意味で試合者と同じような気持ちで試合に臨むということが改善のための方法となります。

 

・有効打突に近い技の直後の反対の選手の打突

 原因は、心の中で勝手に「相殺」してしまうことです。片方の選手が惜しい技を打突して、「あげようか、あげるまいか」と迷っているうちに、反対の選手が打突します。「さっきの技もあげなかったから、今のもあげるべきではない」ととっさに考えてしまい、例えその技が有効打突の基準を満たしていたとしても旗をあげられなくなってしまいます。

 改善方法は、やはり「心構え」となりますが、自分の中で「有効打突の基準を明確にする」ということが必要かと思います。試合者が打突した技に対して瞬時に「○○を満たしていない」「すべて満たしている」などの有効打突の条件に照らした自分なりの解答を常に持つということが、この場面を正確に判定する手助けになるのではないでしょうか。

 

・刃筋の通っていない技

 具体的には、胴技や引き技(下がり技)に多く見られます。中段の構え自体は弦が回っていなくても、打突した瞬間に手首の作用で刃筋が通っていない場合があります。「音」や「機会」がよくてもこのような場合は有効打突にはなりません。

 特に高校生などではこういった場面がとても多く見受けられるため、審判長の先生から審判会議で共通認識を持たせるなどの努力も必要となります。各審判員としては、自分の経験則で正しく目の前の事象を確認して判定するということがこの場面の改善方法となります。

 

 以上3つのポイントを解説しました。審判の判定は時に非常に難しい場面があります。試合後に議論が巻き起こることも少なくありません。そしてそういった出来事を防ぐ特効薬は、残念ながら存在しません。

 よく全剣連の講師の先生がおっしゃることは、「自分自身がよく稽古をすること」「審判の経験を積むこと」です。もしも特効薬があるとすれば、これらの言葉がそれにあたるかもしれません。確かに、自分が打ったことも打たれたことも、または見たこともないような技は判定することが難しいのは当たり前ですし、はじめは審判が下手でも回数をこなしていくうちに上達していくのは当然です。これらのお言葉は審判を務める人は肝に銘じなければなりませんね。 

※当然、各都道府県剣道連盟や各団体の審判講習会に参加するということは審判技術向上のために必須ですので付け加えておきます。

↓↓審判の所作などに関する記事はこちらをご覧ください↓↓

剣道で不信感を抱かれる審判とは? 基本中の基本!

↓↓有効打突に関する記事はこちらをご覧ください↓↓

剣道の審判で有効打突を正しく判定する方法 【必須】

加齢と剣道

 この項では2つのポイントに分けて解説します。 

・加齢は怪我を頻発させる

・加齢は剣道の変質を生む

 以上です 順に解説します。

 

・加齢は怪我を頻発させる

 年を重ねると、言うまでもなく筋力や体力が落ちてしまいます。しかし、日々の生活や稽古の中で明らかな衰えを感じることは少ないため、知らず知らずの内に身体に無理をさせている場合があります。

 特に30代を過ぎたころから、それまでは怪我とは無縁だった人も含めて怪我のリスクは高くなってきます。もちろん個人差がありますので一概には言えませんが、年齢が上がるにつれて怪我のリスクが高まることは間違いありません。

 怪我については、「予防」と「アフターケア」が重要です。下に「剣道の怪我」に関する記事を添付しますので、よかったらそちらもご覧ください。

 剣道で落ちぶれる人・剣道の怪我について徹底解説【必見】

 

加齢は剣道の変質を生む

 それでは、年齢があがって怪我のリスクが高くなった剣道家は、どのように剣道と向き合えばよいのでしょうか?

 一つの答えがあります。

 昭和の剣聖と言われる、持田盛二先生の遺訓をご紹介します。

 剣道は五十歳までは基礎を一所懸命勉強して、自分のものにしなくてはならない。普通基礎というと、初心者のうち習得してしまったと思っているが、これは大変な間違いであって、そのため基礎を頭の中にしまい込んだままの人が非常に多い。私は剣道の基礎を体で覚えるのに五十年かかった。
 私の剣道は五十歳を過ぎてから本当の修行に入った。心で剣道をしようとしたからである。六十歳になると足腰が弱くなる。この弱さを補うのは心である。心を動かして弱点を強くするように努めた七十歳になると身体全体が弱くなる。今度は心を動かさない修行をした。心が動かなくなれば、相手の心がこちらの鏡に映ってくる。心を静かに、動かさないように努めた。八十歳になると心は動かなくなった。だが時々雑念が入る。心の中に雑念を入れぬよう修行している。

 持田先生いわく、「剣道は五十歳まで基礎を一所懸命勉強する」ということですが、五十歳というところは少し置いておいて、「足腰が弱くなってきたら、心で剣道をする」という内容が書かれています。さらに深堀して、「まずは心を動かして弱点を強くする、次に心が動かないようにして相手の心ををこちらの鏡に映す」とおっしゃっています。「心の剣道」と言ってもその意味合いには段階があるのだということです。

 この遺訓から、私たち剣道修行者が受け取るべきメッセージは、「自己の身体の衰えを受け止めて、それに心で対処するように修行する」ということではないでしょうか?

 つまり、自分の体の衰えに従って、剣道を変質させる必要があるということです。若いうちは、往々にしてその腕力や脚力に頼った打突を中心とする稽古になりがちです。そこから「心の剣道」へ、言うなれば「剣先の剣道」へ転換する必要があるのです。

 「剣先の剣道」とは?という疑問がまた湧いてくるかもしれません。ひとつのヒントとなる言葉を、持田先生の弟子でもあり、私の恩師からいただいたことがあります。

剣道は相打ちである

 という言葉です。これは剣道修行者の我々にわかりやすく「剣先の剣道」を指導していただいた言葉と理解しています。「相打ち」をよく思い浮かべてみると、「相手が打ってくる瞬間を狙ったお互いの技」という事になると思います。これは「我慢すること」と「先に打つこと」を両立させる大変難しい作業が必要な技です。「相打ち」はさほど遠間から打つことを必要としませんし、機会を捉えれば圧倒的なスピードもいりません。そしてこの「相打ち」を習得すること、それこそが「剣先の剣道」=「心の剣道」の入り口と言ってよいのではないでしょうか。

 このように、加齢するということは、剣道を変質させるということでもあるのです。自分の年齢や肉体の衰えをうまくとらえて、剣道の変質を上手に行っていきましょう。

 以上2つのポイントで「加齢と剣道」を解説しました。

 

まとめ

 今回は、

 剣道で有効打突の判定は難しい場面・加齢と剣道

 について解説しました。 

 ポイントは、①試合開始直後・惜しい技の直後・刃筋の通っていない技、②加齢は怪我と剣道の変質を生む、の2つです。 

 剣道の稽古も審判も、基本は修行することにつきます。日々の積み重ねによって審判の技能向上があり、また自分の剣道の進化があるのではないでしょうか。毎日コツコツと小さな努力を積み重ねましょう。

 最後まで読んでいただきありがとうございます。次回もお楽しみに。 

 それでは。 

 

 

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