こんにちは。
私は剣道ブロガーのKENDO KAWANOと申します。
脱サラして剣道ブロガー兼Youtuber(現在準備中)に転身しました。
詳しくはプロフィールをご覧ください。
今回は短編記事になります。
「剣道の試合で注意すべきこと」
について、取り上げていきます。
剣道具職人のいる店 剣道防具工房「源」
剣道の試合で注意すべきこと
今回の記事では、技術論とか精神論ではなく、剣道の試合でありがちなミスを振り返ってみて、注意すべきこと(忘れてはいけないこと)を紹介します。剣道の試合を控える小中高生はもとより、剣道指導者の方に読んでいただけると有益です。
今回ご紹介するのは以下の4点です。
・竹刀検量の存在
・不正用具使用防止
・団体戦のオーダー確認
・団体戦のスコア確認
上から順に解説していきます。
竹刀検量の存在
まず初歩編からです。
試合によって様々ですが、公式の大会となると竹刀検量があります。
竹刀の寸法等については、以下に全日本剣道連盟の剣道試合審判規則抜粋を掲載します。
竹刀検量があるということは、誰しもが承知していることだと思います。しかし、「承知している」という所に落とし穴があるのです。現場で生徒の指導を10年以上もやっていると色々な生徒に出会います。なかには準備周到に重さやバランスなどを調節して万全で試合当日の竹刀検量に臨む生徒もいますし、あまり竹刀の重さうんぬんにこだわらない生徒もいます。指導者としては、神経質に1グラムの重さまでこだわるかどうかは別にして、試合があるからには最低限基準に合致する竹刀を何本かは「準備しているだろう」と考えがちです。
しかし、いざ試合当日になってみると「基準を満たす竹刀が一本もない」という生徒や「一本だけしかない」という生徒が10数年の指導歴の中で数名いました。指導者としては当然と思っていることでも子どもにとってはそうでないこともあるのです。
例えば保護者の方が剣道経験者の方であれば、竹刀検量のことなども気にかけてくださるでしょうが、そうでない場合生徒自身が頓着がなければそのままズルズルと当日を迎えてしまうということがあるのです。
「一本もない」は論外としても、「一本しかない」というのも不十分でしょう。試合中に竹刀が破損することはそう稀なことではありませんので、そのような場合に対処できません。
試合を控える小・中・高校生や剣道指導者の方は、必ず試合前日までに基準に合致する竹刀を最低でも2本、あるいは3本程度準備すること、そしてそれを確認することを忘れないようにしましょう。
最後に補足ですが、競技レベルと竹刀検量にひっかかる生徒には関係性があるように思えます。競技レベルの高い生徒は竹刀検量でミスをする確率が低く、逆に競技レベルが高くない生徒ほどミスをする確率が高い傾向が見られます。ご自身にあてはめて考えてみてください。
不正用具使用防止
不正用具の使用についても、全日本剣道連盟の剣道試合審判規則抜粋を掲載します。
このように書かれており、要するに不正用具とは主に竹刀検量をクリアしていない竹刀などのことですが、不正用具を使うと2本負けのうえに既得本数や既得権(不正用具が発覚するまでに取った技や反則)は認められず、さらに団体戦ならばその後の試合に出場することができません。
かなり重大なことだと理解できます。「公明正大に試合すること」が剣道のルールですから、竹刀検量に通らないような竹刀を使用する(軽い竹刀を使うなどの姑息な手段で)ことは大罪に当たるのです。
しかし、皆さんの周りにそのような姑息な手段を使って、しかも上記のリスクを背負ってまで不正用具を利用しようとする剣道家がいるでしょうか?答えは、ノーですよね。しかし、私の住む県では高校生の試合でここ数年の間毎年のように不正用具による失格者が続出しているという現状があります。
これは一体どういうことなのか、説明します。
まず結論から言えば、「悪意のない勘違い」が原因です。
高校の県大会レベルの大会であれば、竹刀検量は試合当日の朝に行います。つまり、試合に出場する選手は朝の試合前練習と竹刀検量を同じタイミングで行うことが求められるのです。それはどういうことかというと、「試合用の竹刀」と「練習用の竹刀」に分けて試合前練習では「練習用の竹刀」を使用して、試合に出場しない選手などに「試合用の竹刀」を検量をお願いするという必要があります。
朝の試合前練習と竹刀検量が終わると、選手の手元には最高で3種類の竹刀が存在することになります。一つは竹刀検量に合格した竹刀です。テープやスタンプなどが押されて合格したことがわかるようになっています。もう一つは竹刀検量に合格しなかった竹刀です。そして最後の一つは試合前練習で使用した竹刀です。検量していないので試合では使用できません。
これらの竹刀を多くの選手は自分の竹刀袋に収納します。ここで、予備の竹刀袋やなにがしかの入れものを準備しておけば何の問題もないのですが、繰り返しますが、多くの選手は3種類の竹刀を全て自分の竹刀袋に収納します。
それから開会式などを経て試合が始まっていくわけですが、試合前になるとどうしても緊張や逆にアドレナリンの分泌で興奮状態になったりしていつもの平常心でなくなる生徒も多々見受けられます。
そのような状態が不正用具の使用を発生させてしまうのです。
緊張して舞い上がっていたり、興奮して冷静さを欠いていたり、監督の先生にも同じことが言えるかもしれません。そのような状態で、先ほど言ったように検量に合格した竹刀も、合格しなかった竹刀も入っている竹刀袋から竹刀を取り出して試合に臨むのです。
何が言いたいかおわかりですよね?
竹刀を取り違えてしまうのです。
平常心を失った己の状態が、悪気なく合格した竹刀と勘違いをして検量にパスしていない竹刀を手にとらせるのです。監督の先生も試合前の緊張感や戦略のことなど考えていることで精いっぱいなため、試合前の確認を怠ってしまってもいたし方ありません。
そして試合が始まって、審判により発見されるという流れです。(「始め」の宣告の前に審判が発見すれば不正用具の使用にはなりません)
悪気はなくとも、勘違いであったとしても、試合ではルールに従って「失格」という判定が下されます。まさかそんなことはないだろうと思うのではなく、毎試合チームで竹刀の確認、監督も竹刀の確認、そのようなことを徹底する必要がありそうです。
団体戦のオーダー確認
団体戦において、試合によっては毎試合オーダーの変更を認める場合があります。先鋒~大将の各ポジションで出場する選手を試合ごとに変更することができるということです。
そのような大会方式の場合は注意が必要です。もしも、提出したオーダーと違う選手が試合に出場した場合どのような取扱いになるか知っていますか?
実は全日本剣道連盟の試合審判規則にはこれについての記載は特にありません。
ではどうなるのかというと、その大会毎の申し合わせ事項によって決定するということになります。
例えば高体連では、先鋒と次鋒が順番を入れ替わって出場していた場合には、試合開始後にオーダーミスが発覚すれば、先鋒次鋒共に2本負けとなります。また、既得本数や既得権は認められません。さらにその試合にチームが勝ったとしても場合によっては次の試合には先鋒次鋒とも出場できないばかりか補欠の補充も認められない場合もあります。(トーナメントかリーグかなどによって補欠の補充が認められたり、次試合からの出場が認められたりする場合もあります)
小さな規模のオープン大会ならば、もう少しゆるい規定になっているかもしれませんが、オーダーミスというのは勝敗を分ける致命的なミスとなります。
団体戦のスコア確認
これはルール上の話ではありません。試合そのものの展開で、今相手チームと自チームが何対何で本数差は何本でという意味での「スコア」についての話です。
私が練習試合などで監督をしていて、特に中堅や副将や大将の生徒に対して相手チームとのスコアを考えて「○○□□」とアドバイスを送るのですが、その際ごく稀ににこういうことがあります。
①試合を見ながら何かおかしいなぁと違和感を感じる
②チームメイトからも違和感を修正するためのアドバイスが送られる
③試合後に生徒がアドバイスをもらいに来る
④自分の試合が始まるまでのスコアを覚えているかを確認する
⑤「わかりません」と答えが返ってくる
どういうことだかわかりますか?
私は試合前にアドバイスを送る時に「その時点でのスコアはわかっているもの」としてアドバイスを送っています。しかし実際には、その生徒は相手チームとのスコアを全く把握していない状態で試合をしているのです。なので試合中の動きにも違和感を覚えるのです(チームが勝っている状況で強引に大技を打ち続けるなど)。試合が終わって本人に確認すると、案の定「スコアを覚えていない」わけです。
剣道を長年経験してきて、割と勝ち負けにも敏感になって取り組んできた人からすれば、試合前のスコアを確認することなど、極めて当たり前のことなのかもしれませんが、人によってはそれが当たり前ではないこともあるということなのです。
特に指導者の方はその点注意が必要です。自分にとっての当たり前が、子どもにとっては当たり前でないということは往々にしてあることなのです。毎試合念仏のように「スコアを確認すること」という必要はありませんが、チーム全体の統一事項として周知しておくということは必要になってくるかもしれません。
まとめ
今回は、
「剣道の試合で注意すべきこと」
について解説しました。
ポイントは、「竹刀検量」「不正用具使用防止」「団体戦のオーダー確認」「団体戦のスコア確認」です。
「剣道をやっている者なら当たり前」と考えて見落としがちなことが意外とあります。指導者の方はしつこいほどに丁寧に指導する必要があります。また、小中高校生の剣道家の皆さん、この記事に書かれていることは「剣道をやっている者なら当たり前」にできなければならないことです。先生の指導を仰ぐ以前の問題としてしっかりと自己管理をできるようになりましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。次回もお楽しみに。
それでは。
剣道具職人のいる店 剣道防具工房「源」
コメント