剣道の「打突の機会」をかみ砕いて詳しく解説

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こんにちは。

私は剣道ブロガーのKENDO KAWANOと申します。

脱サラして剣道ブロガー兼Youtuber(現在準備中)に転身しました。

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今回は、

「剣道の打突の機会

について、取り上げていきます。

 

 

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剣道の打突の機会をかみ砕いて詳しく解説

 剣道では、「三つの許さぬところ」に代表される「打突の機会」というものが存在します。闇雲に竹刀を振り回しても相手に正確に打突することは困難ですが、「打突の機会」を捉えることができれば簡単に有効打突が打てるようになります。今回は、「三つの許さぬところ」プラスアルファについて解説します。

 大きな分類として、

 ・相手の起こり頭

 ・相手が受け止めたところ(打った後)

 ・相手の技がつきたところ

 ・虚

 となります。

 今回は4つの項目を順に解説していきます。

 

相手の起こり頭

 ボクシングなどでいう「カウンター」というものに近いかもしれません。相手の動作の「兆し」を察知してその動く直前(起こり頭)に先をとって打ち込んでいくのが、いわゆる「出頭技」です。「出頭技」は相手の反応(動き)を利用して打突するので、非常に見栄えが良く正確に捉えれば一本になりやすい技となります。具体的な技を紹介すると、「出頭の面」「出頭の小手」「出頭の相小手面」などです。

 さらにこれを応用すれば、「応じ技」に発展させることができます。相手の「兆し」から技の起こりまでをしっかり見切ったうえで返し技や抜き技を狙うことで「応じ技」が成立します。「応じ技」の具体的な種類としては、「小手返し面」「小手抜き面」「面抜き胴」などがあります。

 これらの「出頭技」や「応じ技」を習得する際のポイントとして、「目付」「構え」が大切です。

 まず、「目付」はよく「遠山の目付」と言われるように、「相手の目を見つつ相手の身体全体を見る」ことが重要です。相手の身体全体の些細な動きからも目を離さずに動作の「兆し」を感じ取ることが求められます。

 「構え」は当たり前のことですが、打突は最終的に「構え」から変化して放たれることになります。それが「上段の構え」であろうと「中段の構え」であろうと「二刀の構え」であろうと「構え」を崩さずに打突することは不可能です。したがって、「遠山の目付」で相手の「兆し」を察知したら最終的には相手の「構え」の変化をよく見極めてから、それに呼応する形で打突する必要があります。

 このように、「目付」や「構え」に意識を持つことによって、「出頭技」や「応じ技」の習得がスムーズになされることになります。

 

相手が受け止めたところ(打った後)

 自分が打突して相手に受け止められたところ、これは次なる打突の好機となります。これには「精神的作用」「反射的作用」があります。

 「精神的作用」とは、文字通り気持ちの問題です。相手の技を受け止めたら「ホッ」と一息つきたくなるのが人間です。そのような心の隙、あるいは居着きと呼べるかもしれませんが、このような場面で間髪入れずに打ち込んでいくことが有効打突につながります。

 「反射的作用」とは、身体の反射を利用したものです。受け止めるということは、相手は自分の打突に対して何らかの防御動作をとっているわけです。ということは、「構え」が崩れているということにつながり必然的に空いている箇所が生まれることになります。そして、相手が受け止めた直後に更に追撃を加えようとすれば空いている箇所を防ごうとする反射的な動作が起こるでしょう。更にそれを利用して空いている所を打突すれば有効打突につながる可能性があります。

 「受け止めたところ」の具体的な技には、「体当たりから下がり技」や「中間間(近間)からの仕掛け技」などがあります。

 中学生や高校生など若い年代では「面を打って、鍔迫り合いに入りかけたところでフェイントをかけて引き技」などで勝負が決するパターンが非常に多いです。ただし、このような技はフットワークが必要になりますし、大人になるとフェイントを入れるというような動作は敬遠されるため大人の剣道でこれらの技が使われることは多くありません。

 逆に「中間間からの攻防」はよく稽古などでも見られるのではないでしょうか。一足一刀からの打突が不十分であったため中間間で一旦止まり、そこから相手の隙を狙って追撃を加えるという攻防です。相手も完璧に防御一辺倒の動作をとっているわけではないので、双方による攻防となりレベルの高い打ち合いとなることが多いですので、大人の稽古などでよく見かける光景ではないでしょうか。

相手の技がつきたところ

 自分が打った後と同様に、相手が打った後も打突の好機となります。よけて「ホッ」とする場合もあれば、打って「ホッ」と一息つくという場合もあります。また、連続技の攻防で技を出し尽くして止まったところなども同様です。このようなシーンで相手の「技のつきたところ」を見逃さずに打突することができれば有効打突へとつながります。

 具体的な技としては、「連続技の攻防で相手が止まったところ」や「相手が引き技を打って下がった後」「相手の打突後鍔迫り合いになったところ」などです。

 中学生や高校生年代では、「引き面をよけて追い込み面」や「相手の仕掛け技をよけて鍔迫り合いに入る瞬間の引き技」などは主流の技(地域差はあります)と言えるほどメジャーな技です。

 大人の剣道では、「連続技の攻防で止まったところ」をいかに自分が打ち込めるかということが、剣道を伸ばす肝の部分と言っても過言ではないのではないでしょうか。

 

 剣道には、「実」「虚」という言葉があります。「実」は充実の「実」、つまり「いつでも打突したり動作できる状態」を指します。「虚」は、中身がない状態つまり、「相手の打突に対応できない状態」を指します。

 では、何が「実」で何が「虚」なのかということですが、簡単に言えば呼吸の違いです。

 「実」は呼吸でいえば、「息を吐いている状態か息を止めている状態」です。瞬発的な動作をするときには、人間は息を止めるか吐くかのどちらかの状態にあります。

 例えば、アメリカメジャーリーグで活躍する大谷翔平選手がバッティングするときの映像を見てみると、バットにボールが当たる瞬間に大谷選手のほっぺたが「ぷくっ」と膨らんでいるのがわかります。要するに息をポンと吐いているのだと思います。また、バスケットボールの神様と呼ばれる元NBAのスタープレーヤ―であるマイケルジョーダン氏は現役時代にダンクシュートなどのスーパープレーをする際に「舌をむき出し」にする癖があったことはあまりに有名です。これも息を吐いている証拠だと思います。

 以上のように、瞬発的な動作をする際に人間は「息を止めるか吐くか」という状態を作らなければなりません。したがって、「息を止めるか吐くか」の充実した状態を「実」と呼びます

 「虚」は呼吸でいえば、「息を吸う状態」です。もしくは、呼吸が激しく乱れている状態でもあります。先ほどの例と逆に考えてみると、瞬発的な動作をする際に「息を吸いながら」行うということは不可能なのです。したがって、「息を吸う状態」は相手に対応することができない「虚」の状態と呼ばれます

 ここで、先ほどまでに挙げた「起こり頭」「受け止めたところ」「技のつきたところ」を想像していましょう。「起こり頭」で相手の「兆し」を見極める際に自分が息絶え絶えの状態では起こりを見極めることができません。「受け止めたところ」や「技のつきたところ」を狙おうとしていても技を出す前に「スーッ」と一息吸ってしまえば相手に時間を与えることになり打突の好機を逃してしまいます。

 つまり、「打突の機会」には大前提として「実」をもって「虚」を打つという基本的約束事があるということになります。このことを意識して稽古をするかしないかということが我々の剣道人生を分ける岐路となるかもしれません。

 

 ※稽古や試合をしている間はなるべく「実」の状態を維持したいところです。そこで必要になってくるのは呼吸法です。呼吸法については別の記事で紹介していますのでそちらもご覧ください。↓↓

 剣道の「黙想」と「静坐」どっちが正解?に答えます!【超重要】

 

まとめ

 今回は、

 「剣道の打突の機会

 について解説しました。 

 ポイントは、「相手の起こり頭」「相手が受け止めたところ」「相手の技がつきたところ」「虚」です。 

 長年剣道の指導に携わってきて感じることは、「理想」と「現実」のギャップです。頭の中には常に自分の理想とする指導像や指導者像があるのですが、現実は様々な要因が重なりそううまくはいきません。ですが、私は極端な現実主義に陥ることは剣道の敗北だと考えています。「打突の機会」についても先人から伝えられたこのような知恵を自分なりに昇華してまた次の世代に伝えることが自分たちの使命なのではないかと考えます。「打突の機会」を正しく学んで、美しい剣道を身につけましょう。

 最後まで読んでいただきありがとうございます。次回もお楽しみに。 

 それでは。 

 

 

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