こんにちは。
私は剣道ブロガーのKENDO KAWANOと申します。
脱サラして剣道ブロガー兼Youtuber(現在準備中)に転身しました。
詳しくはプロフィールをご覧ください。
今回は、
「剣道は大人ほど反復練習が必要」
について、取り上げていきます。
剣道具職人のいる店 剣道防具工房「源」
剣道は大人ほど反復練習が必要
昭和の剣聖と呼ばれた、持田盛二先生が遺された言葉に、
「剣道は五十までは基本が重要」
といった意味合いの言葉があります。
私たち一般の剣道家はこの言葉をどのように捉えるべきなのでしょうか?
今回は私なりに、このことについて解説していきたいと思います。
まず皆さんに思い出してもらいたい(もしくは想像してもらいたい)ことがあります。少年~大学生年代にかけて苦しい稽古を積み重ねた経験があるのではないでしょうか?例えば、切り返しやかかり稽古、区分稽古を延々と繰り返すような稽古です。いつまで続くのかわからない恐怖や真夏の暑さとの闘い、のどの渇きとの闘いなど思い出すだけで身の毛もよだつような辛い稽古の日々を経験された方もいらっしゃると思います。このようなきつい稽古や辛い稽古は、いわば基本動作を体に叩き込むために行うものに他なりません。であるからこそ、剣道を始めて年の浅い若年層の期間に徹底して基礎を覚えることは理にかなっているように感じます。
しかし、きつい経験をされた剣道家のみなさんは同時に、「大人になればこんなきつい思いをすることなく楽しく剣道ができる」と考えたこともあったのではないでしょうか?
実は、持田先生のお言葉から推察すれば、その考え自体が大きな間違いを招く危険性があるのです。「きつい稽古や辛い稽古」=「基本動作を覚えるため」であれば、「五十まで基本」ということは「五十まではきつい稽古が必要」と解釈することができます。なんだか耳を塞ぎたくなるような話に聞こえますが、安心してください。
そもそも、18歳の体と28歳の体と38歳の体…ではその瞬発力・持久力・柔軟性どれをとっても違うことが当たり前です。アスリート並みの相当な鍛錬をしていれば別の話ですが、普通はこの中では18歳がピークといってもよいと思います。そうであるならば、年齢に応じて負荷のかけかた(つまり稽古の仕方)を変えるのは当たり前で、永遠に中高生と同じような負荷の稽古をする必要はないのです。
しかも、学生時代は往々にして「やらされる稽古」が中心ですが、大人の剣道はすべて「自主的な剣道」に分類されるため、稽古の内容や量についてはセルフマネジメントすることが可能です。今の自分にあった限界を超えないような負荷をかけた稽古を自分流に取り組むべきでしょう。
要するに、「大人になってら楽しい剣道」も否定する気持ちは毛頭ありませんが、「楽しい」だけでは不足があるかもしれないということです。やはり剣道家である以上は常に「自分を律して、自分の弱点を克服して向上する」ということを頭において、多少は「負荷をかけた稽古」を行うことが必要となってくるのではないかと思います。
それを裏付けるような体験談をご紹介します。
私は小学校のときに通った剣友会で6年生のときに「日本剣道形」を習いました。週に3回ほど通常の稽古後に指導者の先生方が身振り手振りで指導してくださったことをよく覚えています。小学校5年生のころまでは、上級生の先輩たちがやっているのを見て、「覚えるのが大変そうだなあ」と感じていましたが、実際にやってみると先生方の丁寧な指導のおかげで割と短期間で身につけることができたように思います。そして「日本剣道形」は(特に一本目から七本目まで)いまだに身体に染みついてすぐに思い出すことができます。※細かい部分や相手とのかけ引きについてはもちろん日々稽古しなければすごく難しいですが…。
一方で、大学を卒業したころに「木刀による剣道基本技稽古法」というものが始まりました。私は教員という仕事柄、講習会などによく参加させていただき、小学生の頃「日本剣道形」を覚えたのと同じくらい「木刀による剣道基本技稽古法」を教えてもらったような気がします。
ところが、恥ずかしいことに一向に私の身体に「木刀による剣道基本技稽古法」が身につく気配がないのです。学校の指導にも取り入れようと思って自分なりにその時は覚えて生徒に指導などするのですが、一定期間空いてしまうとものの見事に忘れてしまっているではありませんか。もちろん、まるまる全て忘れているわけではありませんが、皆さんもこういった経験はないでしょうか?
このことは、おそらく少年時代と大人になってからの心身の記憶の定着力に差があるためではないかと考えています。※今から書くことは何ら科学的根拠のないことなので、私の独り言と思って読んでいただければ結構です。
子どもの頃には、頭と体を連動させて簡単に理解(覚える)することができていたことが、大人になると少し難しくなってしまうのではないでしょうか。そのため、子どもの頃の「日本剣道形」も、大人になってからの「木刀による剣道基本技稽古法」もどちらも一生懸命に覚えようとはしているものの、覚え方に差が出てしまうのではないでしょうか。
もしこれが正しいというのならば、私たち大人の剣道家は剣道の稽古をする際に、少年時代よりもより時間をかけて(反復して)一つのことを覚えるという作業が必要ということになります。私は、持田先生の「五十まで基本」にはこのような意味も含まれているのではと勝手に考えています。「少年時代よりも体の覚えが悪いのだから、時間をかけて反復して一つ一つ自分の弱点を克服していく」そのための長いスパンを「五十」までと表現されているのではないでしょうか。
そのように考えると、持田先生の言われた言葉は非常に重みがあり、また私を深く納得させるものであるのです。
最後に、我々大人の剣道家には「経験」や「知見」、「教養」といった若年層の剣道家があまり持ち合わせていない武器を持っているのです。それらをうまく活用して、我々大人の剣道家こそ正しい「反復練習」を行って自分の剣道を向上させていきましょう。
まとめ
今回は、
「日本の剣道が良くなる唯一の方法 」
について解説しました。
ポイントは、「剣道は五十まで基本が重要」「子どもと大人は記憶の定着に違いがある(私見)」、です。
大人になれば、「老い」が始まり、「衰え」が始まります。しかしそれは、悪いことではないと思っています。逆にいえば、「経験」がたまり、「知識」がたまるのです。それらは体の衰えを補うのに十分すぎると言える武器ではないでしょうか?今この時に自分が持ち合わせた武器を最大限に活用して剣道の修行に励みましょう。
これからも試合がそのようなものであり続けるために、みんなで試合を良くしていけるようになればよいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。次回もお楽しみに。
それでは。
剣道具職人のいる店 剣道防具工房「源」
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